2006年3月 6日

平高史也・古石篤子・山本純一「外国語教育のリ・デザイン 慶應SFCの現場から」

SFCにおける外国語教育の理念、カリキュラム、教材開発などについて書かれた本。SFCでは、英語のみならず、ドイツ語、中国語、スペイン語、フランス語、マレー・インドネシア語、アラビヤ語、朝鮮語について第一外国語として学習できるような環境作りをしている。孫引きになるが、三浦信孝は『多言語主義とは何か』(1997)において、「言葉の多様性に意義を認め、互いに相手の言葉を学びあうことで意思の疎通をはかろうとする態度を『多言語主義』と呼ぶことができる」と述べている。この『多言語主義』というのは、うちの大学にも通じるものがあり、参考にできるところがたくさんあるという気がした。

2部では、カリキュラム、IT、留学制度の各論が、3部では上級向けのコンテンツ重視(外国語を学ぶ、から、外国語で学ぶ、という変化と言えるだろか)の取り組みが記されている。専門的にはIT利用(CALL)に目が行く部分もあるが、外大に勤める身としてはカリキュラムとコンテンツのところが興味深かった。学生にいかに外国語を身につけてもらうか、さらに教養を身につけてもらうか、というところはこの2つに依存するところが大きいと思うからである。ITや留学は補助的に支えるものかな、という気がしている。

ともかく大学における外国語教育を考える際には参考になる本だと思う。

ところで、望月君が出てきてびっくりした。スペイン語の教材を作っていたとのこと。すごいなー。うちの大学でもなんかやってもらわないといけないなー(笑)。2006年2月25日にSFCでシンポジウムがあったようで、望月君が感想を書いておられました。「『次世代の外国語教育デザイン』に思う」