2007年8月27日

蓑 豊「超・美術館革命―金沢21世紀美術館の挑戦」

館長を務めていた蓑さんの金沢21世紀美術館における挑戦や考え方をまとめた本。

子どもたちにいかに美術館に足を運んでもらうか、ということで、小中学生全員を無料で招待し、さらにもう一度きてもらえる無料券を配布し、家族を巻き込んでいく、といった戦略をとり、成功している。現在は”10歳”にしぼってやっているようだ。また、無料スペースもふんだんにある。「美術館にも経営哲学を!」とあるように、広報活動などにも力を入れる。

また、学芸員が主役になれるような組織作り、地域連携して美術館を身近に感じてもらう、といったさまざまな取組が記されている。授業で話すネタとしても、とてもありがたいし、組織変革の視点から見てもなかなか面白いと思う。

2007年8月19日

江本孟紀「職業としてのプロ野球解説者」

帯にあるように、確かに「名選手」が「名解説者」とは限らない。それは監督やコーチも同じだよね。ちなみに、掛布の解説は、確かに正しいとは思うが、かなりくどい(笑)。江川は結構好きだけどな。最近好きな解説者というのはあまりいないなぁ。関西では、木戸がいいかな。福本も楽しいけど、別の意味で(笑)。他にも、江本の持論が展開されていて、よくテレビでも言っているウェイトトレーニング偏重への意見などは納得できるものがある。全体的には自画自賛なきらいはあるけども。

松井秀喜「不動心」

松井よ、やはり君は優等生だ。松井がなぜ日本人に好かれるのかはよく分かる。こう考えると、イチローと松井の違いは大きいよなぁ。

2007年8月 8日

坂東眞理子「女性の品格」

2007年8月 3日

江副浩正「リクルートのDNA」

2007年7月13日

西垣通「ウェブ社会をどう生きるか」

2007年6月21日

浅枝大志「ウェブ仮想社会『セカンドライフ』」

「セカンドライフ」をざっくり知るために手軽な一冊。企業の関わり方なんかは指摘されている通りで、いまなら入ったもん勝ち、でもリピータを作るための戦略は練っておいたほうがいいですよ、ということだろう。

そうか、と思ったのは、1990年代後半からは卒業名簿をもらえない世代になっているという記述。この辺の影響というのは、ケータイ普及とあいまって、案外大きいよなぁ、と思った。

2007年6月 4日

山田真哉「食い逃げされてもバイトは雇うな」

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」に続く第二弾。言ってることは、まあそうだわな、という程度。簡単過ぎな気もするが、、、。まあ、1時間で読めることを目標に書いたらしいので、確かにその程度ではある。

下巻もでるようだ。新書乱発のこのご時勢、あまり内容を薄くしすぎるのはどうかなぁ、とは思う。

2007年5月21日

藤平芳紀「視聴率の正しい使い方」

視聴率に関する知識をまとめた本。授業で視聴率の話はよくするので、参考になった。天気の話などはよく聞きますよね。

ただ、後半部分の視聴率の限界や未来についての記述は、少し分かりにくかった。「視聴”質”」とよく言われるが、なかなか難しい。デジタル放送になれば、もう少しいろんな手法は使えるのではないのかな、と素人目線では思うのだけど。どちらにしても、多チャンネル時代になれば、今の視聴率はそれほど重要ではなくなるかもしれない。

2007年5月 9日

中井浩一「大学入試の戦後史 ―受験地獄から全入時代へ」

 

 

 

 

 

 

2005年9月18日

佐野真「和田の130キロ台はなぜうちにくいか」

直球なタイトルの本(笑)。内容はなかなか面白かった。もちろん、和田の球がなぜ打ちにくいのか、という問いもさることながら、和田の野球生活を通して、スポーツ上達のための手がかりを示していると思うからである。自分の体験に重なる部分が多い(って、スポーツではレベルが違いすぎるわけですが)。

打ちにくい、という点においては、ボールの回転数を大きな要因にあげている。もちろん納得はできるのだが、ちょっと説明しきれてない気はした。今年、突然変異を遂げた藤川も回転数が高いのでは、と思われる。やはり、個人的には、和田の場合はフォームのよさがもっとも大きな要因だろうという気はする。

感心したのは、和田の取り組む姿勢。よきパートナーであるトレーナー土橋の意見でも、自分で納得しないとやらない。「とりあえず一度は人の話を聞く。でもそれが自分にあわないと思ったら、絶対に取り入れることはない」(p78)。これはスポーツをやる上で非常に重要な要因である。

また、自分で決めて進研ゼミをやり続けたというエピソードなどから、「小学生の頃から、『○○を達成したい』という強烈な欲求、目標達成までの具体的な計画を立てる、負けず嫌い、必ずやり遂げる強い意志、という”成功者の条件”というべきメンタリティを身につけていたことが分かる。」(p94)とある。これは何事においても必要な条件である。

和田毅に、これからも注目したい。2003年の日本シリーズでは、和田には勝てないので、斉藤を打たねば、と思って観戦していた。新垣と杉内は打てると思ってたんですが。杉内にやられてしまいましたが、、、。和田の今年の調子はいまいちのようですが、やはりうっとおしいことには変わりありません。ソフトバンクでは、杉内が突然変異したようですが、日本シリーズになったら何とか打ち崩してほしいところ。

ちなみに、卒論が載っている。これはすごいことですね。ちなみに、私は、自分の卒論はもう見たくありません(苦笑)。

2005年8月24日

鈴木謙介「カーニヴァル化する社会」

若手社会学者による現代社会論?。電車でざっと読んでみたのだが、なるほど、と思うところもあったし、よく分からない部分も結構あった。社会学のことをよく知らないし、知識不足というのが大きいけど。監視社会の話などは勉強になった。

『「自己目的化する感動」が、カーニヴァル化の源泉となる(p143)』と指摘している。ここでカーニヴァル(祭り)としてあげられているのは、W杯やイラク人質被害者バッシング、折り鶴オフなど。確かに盛り上がれればなんでもいい、という風潮はあると思うし、TVメディアなどもスポーツ番組において(世界陸上やバレーボールなど)あおっているようなところもあると思う。若者のエネルギーの発散場所がないのかもしれない。

個人化において、反省的な自己(I)から再帰的な自己(me)へ移ってきている、というのは納得できた。ただ、その再帰を支援しているが「データベース」ということなのだが、この部分はそうなんかなぁ、という気もした。

他にも情報化社会に関する本があるようなので、読んで勉強したい。ケータイに関する論述のいくつかは、後期の授業で使いたいと思う。

2005年4月22日

藤原正彦・小川洋子「世にも美しい数学入門」

私がよく読む2人の作家(?)による対談。<博士の愛した数式」を書くときには藤原先生に取材してるのかぁ。

数学者の天才ぶり、奇人ぶり?や「博士の愛した数式」と友愛数、完全数との関係もよかったし、第2部の「神様の隠している美しい秩序」で紹介されている定理や法則なんかはぜひ学生に読んでもらいたいなぁ、と思う。やっぱりね、「数学は美しいのだよ」(笑)。

2004年12月27日

齋藤孝「コミュニケーション力」


齋藤孝の本は、久しぶり。大量生産してますよね。おそらく他の本で抱えている内容と重なる部分が多いのだろうけど、分かりやすい。基本的に身体論にひきつけられている。

p77-78にあるように「あっかんべー」や「イーッだ」といった身体表現が衰退し、ひっかきあうといった相互的な身体コミュニケーションがなくなり、ナイフなどの非身体的、非相互的な道具をいきなり使ってしまうところに問題があると指摘している。このように、身体によるコミュニケーション力が低下しているのは確かだと思う。小さい頃に、ケンカをしないから、大きくなってなにかことが起こった時に加減が分からなくて大怪我につながってしまうという話はよく聞くし。「目を見る」「微笑む」「頷く」「相槌を打つ」といった基本原則をあげ、そのスキルを身につけるための方法などについて書かれており、すぐに使えそうである。この辺が本が売れる要因の1つなんだろう。

また、会議の運営や質問力、コメント力といったことについてもまとめられており、読みやすい。そんなにすごいことを書いているとは思わないけれど、分かりやすく書くことの必要を認識させられる。詳しく知るには、ちゃんと別の本があるので、その本を買う必要もあるのだろうけど。

2004年12月 9日

丹羽健夫「予備校が教育を救う」

タイトルはちょっとキャッチーな感じがするが、実践ベースに予備校の理念を伝えた本ということだろうか。予備校は常に学校とは異なる路線を歩むことになると思うのだが、”学問への思い”が強くこめられているものは面白いというのは、学校だろうが予備校だろうが、どこでも変わらないということだと思う。また、授業評価の結果の受け止め方や授業への取り組み姿勢というのは、大学でも参考になる部分があると思う。また、入試問題の日韓中比較は面白かった。

大学についても述べられていて、大学を3つに分類している(この辺は田中先生@京大と同じ)。そこで、「よき社会人養成大学」は専門学校に近づいていく、といったくだりがある(p189)。専門学校の台頭も目覚しいし、大学と専門学校の棲み分けというのも難しくなっていくんでしょうね。

2004年12月 2日

山田昌弘「パラサイト社会のゆくえ」


「パラサイトシングル」を提唱した山田昌弘氏の続編(?)。

「子どものしあわせ」を願うから、子どもを産む数をしぼり、子どもの生活をよりよくしようとする。いわゆる「12の眼」というやつで、支援も集まる。しかし、子どもの数は減り、長い眼で見ると経済構造は低下していくということらしい。

大学の倒産やフリーター、年金の問題など、現代の社会問題を分かりやすくまとめた一冊。就職活動を控えた大学生には、時事問題を知る上でもお薦めだと思う。

佐藤博樹・武石恵美子「男性の育児休業」


男性の育児休業に関する海外の動向や日本の現状、今後向かうべき方向について書かれている。

海外では、ワークシェアリングや短期休暇などがあり、国レベルで支援を進めているところもあるらしい。やはり日本では、制度面もそうだけど、男性が育児休暇をとる雰囲気がなかなかない。確かに、自分が育児休業制度をとるか、っていうと、多分とらないなぁ。まあ、この職業だと、家で研究できればなんとかなるかもしれないとは思うんだけど。このあたりはやはり導入事例を増やして、一般的に理解してもらえるようにしないといけないでしょうね。

育児休業制度だけではなく、雇用体制などすべてを含めた”企業のスタンス”というのが、重要になるだろう。若者雇用の抑制をはじめとして、今は短期的な視野で物事を進めていくところが多すぎる気がする。なんとか改善してほしいものですね。

2004年9月 7日

二宮清純「勝者の組織改革」

「過去の成功体験」が改革を邪魔しているという論理を様々なスポーツを例にあげて展開する。多くの経営陣、協会関係者、指導者などが「昔これでよかったのだから、今もこれでいいはず。なぜ選手は分からない?できない?」という感覚を持っているということだ。時代は変わっていくわけで、戦略なり練習方式なり変更していかないといけないのは当然だし、選手気質も変わるのだから、ある程度それに応じたやり方があるだろう。どうしてもそこを認められないから、変わらない部分も見えてこないのだろう。

6章で取り上げられているのだが、本来、女子スポーツは女子の指導者によって指導されるべきだと思う。女子選手には女子アスリートとしての経験を伝えた方がいいと思うし、それを理解できる人が上にいないといけないと思う。物理的にいろいろ難しい面はあるのかもしれないし、もちろん男性でも悪いわけではないが、女性指導者が増えてほしい。ともかく、女性指導者の進出を阻んでいる「こんな女に何ができるんだ(p145)」と思うような人たちがまずいなくなることを願いたい。

橋本治「上司は思いつきでものを言う」

前半部分はとても面白かった。改革を邪魔するのは「我々は悪くない」という意識であるということ、改革をするのは別に昔が悪かったというわけではないのに、そう感じてしまって自己保身に走ってしまい、ひいてはそれが組織にまで広がってしまう(というか組織が個人をそうさせてる)という論理には納得。官僚的な日本の組織を変えるのはとても難しそう。企業だけでなく、大学も似たようなもんですね、、、。

2004年8月17日

貫成人「哲学マップ」

哲学を勉強したい人にはいい本だと思う。高校のときには受験のため、独学で倫理政経を勉強して(歴史や地理が苦手だった、という条件が大きかったけれど。)いたので、半分くらいは「あー、そうそう」と思い出しながら読み進められた。予備知識が全くなくても読めるんじゃなかろうか。大学生に勧めたい1冊。