2007年8月 5日
2007年6月20日
難波教行「たとえば、人は空を飛びたいと思う ─難病ジストニア、奇跡の克服─」
難病ジストニアを克服した青年の半世紀。大谷大学の大学院に通われているそうだ。たまたまKBS京都の番組を見たときに本人が出ておられ、インタビューや闘病時の映像を見て驚き、感動したので、購入することにした。
医者との出会いや闘病生活、親との関わりについては重みがあるが、日常生活についての記述を読めば、ごく普通のやんちゃな学生という感じだ。その点は読んでいて少し気恥ずかしさもあるが、それもまたいいところだろう。筆者の思いの強さには感服する。同じ世代の学生や子どもに読んでほしいかな、と思う。
しかし、医療の進歩は本当にすごい。私には到底できないことだが、援護射撃くらいはしたいな、と思う。
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2005年5月14日
石川保茂「教師の力 教室の空気を入れ替える」
著者である石川先生@京都外大からご献本いただきました。ありがとうございました。
授業を行う上でのTipsをまとめた本。対象は中学、高校の教員となるだろうか。個人的には教育実習前や初任教員に読んでもらうといいのではないか、と思う。
この本で読んで思ったことは、授業を行う上で必要となるのは「教師と生徒の間のルールを決める」ということになると思う。Ⅰで言えば、(8)板書のしかた、(14)採点のしかたなど、「・・・のしかた」という節があてはまる。生徒との約束事を明文化して納得させておくことが、あとで効いてくると思う。もちろん、いい方法を見つけるには経験も必要だし、生徒に応じて修正することは大事。
Ⅱは特に(1)クラス開きの仕方や(13)「学園祭のとき」というところがなるほどと思った。著者が使う言葉では「芯」と言われている部分である。これも上と同じ「ルール作り」、ひいては「教師と生徒との信頼関係」ということになるだろうか。また、芯を作るためには教師が揺るがないことが重要なのかな、と思う。とても難しいことだけれど。
読んでいると自分が塾で働いていた頃を思い出した。いろいろあるが、例えば、生徒に「叱る」「怒る」「キレる」では違うのだと。本当に教師が感情的にキレてしまったら生徒もそのことが分かるし、その後信頼関係を作るのは難しくなる。生徒には叱ることはあっても、キレてはいけないな、と。今は、大学生が対象になっているので、感覚はだいぶ変わっているけれど、心の片隅には置いておかないといけないかなぁ、と思う。
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2005年3月30日
藤原辰史「ナチス・ドイツの有機農業」
大学のクラブ&学部の後輩である藤原辰史@京都大学人文科学研究所の初単著。私には縁遠い分野であり、的外れな感想になるかもしれないが、記しておくことにする。
個人的には、まず、この書でとりあげられている有機農法のバイオ・ダイナミック農法(BD農法)が、シュタイナーの提唱したものであるということに驚いた。教育分野では聞いたことがあるが、農業などにも通じていたのですね。
ポイントになるのは、自然の循環に人間を位置づけること、この中で農民としてのアイデンティティを高めることにあるのだと感じた。農民としてのアイデンティティについては第5章、第6章などで述べられており、化学肥料を使わずにBD農法に従事することによって土壌への意識が高まり、作業を通じて「自分が農民であることを強く思う」ようになる(p108)、とある。このことによって農業に集中させるとともに、自然との共生を意識させる。
「自然との共生」という考え方そのものは言葉だけ見れば正しいと思えるが、ここでは、自然の循環に重点を置きすぎ、人間の多様性を奪う役割を果たしてしまう。その結果、「人間と動植物の境界」よりも「人種と人種の境界」に太い境界を引き、収容所に”囚人を動物に変える働き”を持たせることになる。これがナチスによって好都合であったわけなのであろう。
上記の理解が正しいかどうかはあやしいが、本の感想としては、当時の文献や手紙などの引用なども多く、かなり詳細に調査されており、とても重厚な印象を受けた。さすがといえる作品であった思う。
知識不足や分野が違うからだと思うが、ちょっと分かりにくいと思ったのは、章によって時代が前後するからかナチ党やダレーのBD農法に対する扱い、考え方の変化を把握し切れなかった部分があった。附録の年表などに対応させておいてくれると把握しやすいのかな、とも感じた。
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2004年11月23日
山田真哉「女子大生会計士の事件簿 DX.1ベンチャーの王子様」
文庫になったら買ってみようと前から思っていた本。会計のトピックを推理小説風にまとめたもの。最初は、ミステリ、という視点で読んだので、さすがにそれはちょっと違うなぁ、とは思ったけれど、会計を勉強するとっかかりにはとてもいい本です。
もちろん会計士を目指す人には物足りないんだろうけど、簿記について勉強を始めようと思ってたり、シスアドでの会計の範囲の実例を知ろうと思ってたりする人くらいにはちょうどよい。ケーススタディにもなってるしね。学生に紹介してみたいと思います。
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2004年11月14日
内田樹「街場の現代思想」
ホームページに書かれたエッセイと連載記事をまとめたもの。内田先生の本を読んだのは2冊目だが、かなり多くの人が読んでいるようですね。第1章の「文化資本主義の時代」にかなりひかれた。おもしろかった。文化資本である。なんといっても私には文化資本が欠けているんですよねー。
「文化資本」には、「家庭」において獲得された趣味や教養やマナーと、「学校」において学習して獲得された知識、技能、感性の2種類がある(p18)。
「家庭」で習得した文化資本と、「学校」で習得した文化資本の差はこの「ゆとり」、あるいは「屈託のなさ」のうちにある。その「ゆとり」は何よりもまず「無防備」という形を取る(p20)。
私における文化資本とは、「お笑い」と「阪神・野球」で固められているといえる。大阪の下町の商店街の一角で、やや貧乏な家庭で生まれ育ったのだから必然だ。そのあたりの知識はかなりのものだと、自負してます。しかしながら、美術や音楽、ワインやブランドなんて全く分からない、、、。周りとの違いに愕然とすることもあります。
30歳を越え、「文化資本向上計画」をたてたいな、と思う今日この頃である。でも、きっと「ゆとり」なんて全くないんだろうけど、、、。
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2004年10月 4日
土屋賢二×森博嗣「人間は考えるFになる」
面白かった。二人は作風も立場も違うので、全く違う発想のように見えるけれど結構近いのかも、と思わせるところも随所にあり、楽しめた。また、大学内部の話では「そうそう」と思わずうなずいてしまうところもあり。土屋氏の初短編「消えたボールペンの謎」も秀逸。
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