導入教育に関する調査、論考をまとめた本。主にアメリカを対象としている。今まで教科書はいくつか出ているが、学術的な本は少ないため、導入教育がなぜ日本の大学にも必要と言われるようになったのかを知るために有用な本だと思う。
まず、アメリカの大学の特徴として、IR(Institutional Research Office、日本語では機関調査部と訳されている)の存在が指摘されている。p29以降に詳細が書かれているのだが、「大学内部のさまざまなデータの管理や戦略計画の策定、アクレディテーション機関への報告書や自己評価書の作成」を仕事にしている機関であり、教育研究、組織管理の改革を支援している。日本ではセクショナリズムの壁もあって、現状ではこういう機関は少ないのでは、と思う。しかし、国立大学も独法化したので、各大学、学長や副学長の直下にこのような機関ができていく、もしくは私が知らないだけで、すでに出来ているのかもしれない。
実践の観点からは、p91以降で論じられている「ピアリーダーシップ・プログラム」が参考になると思う。いわゆるSA(Student Assistant)になると思うが、どのように育成していくか、ということが重要な要因だと思う。導入教育を行う場合、その授業を受講した先輩の力というのは1年生にとって極めて大きいと思うからだ。2006年度から京都外大で実施する「言語と平和Ⅱ」においても数年後にはこのような方式をとれればと思っている。
正月に読んだのだが、今チェックしたところをぱらぱらと見返していると、頭に入っていないところも多い。もう1回チェックしておかないと。