選挙をテーマにした娯楽小説。同世代である34歳の主人公達についつい引き込まれてしまう。社会に出て10年ばかり、社会や大人のずるさも知りながら、同級生に会うとついつい若い感情が戻ってきてしまう、というのはとてもよく分かる。主人公の駒井健一郎にかなり感情移入して読み進められた。
選挙の仕組みなんかについても分かりやすく記されている。立候補する天知達彦は盛んに「国民が行動を起こすことしか政治を変えられない」ということを主張する。既得権益を守ろうとする制度や社会についても異を唱える。この辺は作者の主張でもあるのだろう。また、選挙というものには一種の魔力があるのだな、という印象も受けた。
いろんな要素を含んだ一気に読める小説。30代の方にお薦めです。