溝上慎一・藤田哲也編「心理学者、大学教育への挑戦」

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溝上さん@京大高等教育センターからご献本いただきました。ありがとうございます。

心理学者が、大学実践の中で心理学の知見を活かすこと、大学教育実践をどのように研究していくかを明らかにすること、を目指した論考集。実践ベースに書かれていてとても読みやすいし、大学教育に関わるものとして今関心のあるテーマばかりが対象(授業評価、導入教育、主体的な学習)なので、非常に参考になった。

大塚先生は1章で授業評価をどの授業改善につなげていくかについて論じられ、毎回授業評価の実践を事例としてあげている。その上で、自らの実践の中で評定平均値を意味づけていくプロセスを”実践的妥当化”と定義し、このプロセスが重要である(p23)と述べている。授業評価は多く行われているが、教員がこの実践的妥当化を行えれば、授業評価をした意味はここでかなりなしえたのではないか、と思った。

また、主体的な授業作りでは2章のポジショニング技法(溝上さん)、4章のLTD話し合い学習法(安永先生)、導入教育(スタディスキルズ)では3章の動機付けをふまえた光華女子大での実践(藤田さん)、6章のリテラシー教育(西垣先生)とあり、各章にコメント論文もついて、盛りだくさんであった。5章(田中先生)は、自分の興味対象とはちょっと違ったが、考えさせられる内容であった。

このような理論を踏まえた実践ベースの研究がどんどん行われていくべきだし、自分もそうしていきたいと思わせてくれる一冊でした。

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このページは、むらかみが2005年3月31日 21:44に書いたブログ記事です。

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